村上春樹2冊目は氏のランニング回想録
氏が千駄ヶ谷でジャズ喫茶を営んでいた頃から
初期作品に至るまでのエピソードが盛り込まれ
作家としての生い立ちをうかがい知ることができます
村上春樹初心者の私にとって2冊目にぴったりの本ですね
2005年ごろのお話なのでところどころに懐かしさを感じますが
走ること自体に今も昔もありません
左右の足を交互に前に出すだけの運動と心の移ろいを
万人へ伝えることが「ものかき」としての挑戦であり
自分への挑戦であるマラソンと根源的に通じています
スイムのドリル練習をドラムになぞらえたり
進化のどんづまり、作家やつれ・・・と印象的な表現がいくたびも登場するのですが
いずれも尾を引かずスッと身体を通り抜けて消えていく読了感
私では何億文字を投じても走ることを伝えきれないので
専業作家の要約する技を感じる一冊です