2021年新書大賞を受賞した話題作を読みました
世界と日本をひっぱるリーダーたちに不都合な真実が説かれています
リーダーたちは持続可能な社会の実現を声高に叫んでいますが
技術革新によって生活水準を落とすことなく
この危機を乗り越えることは不可能です
たとえばエコ技術
自動車はガソリンから電気へのシフトが促されていますが
ここに使われるリチウムイオン電池をつくるために新たな環境破壊が起こっています
リチウムは塩湖から水を汲み上げ水分を蒸発させて採取するので地域の水を大量に消費します
雨の少ない乾燥地域である塩湖周辺で大量に水を使用すると住民が使用できる水や
生態系に影響を及ぼします
石油がダメって言いながら別の場所で採掘し、
不都合な事実は我々に見えないように収奪を繰り返すことは帝国主義と同じです
コバルトなどその他のレアメタルも同様で
エコ技術に必要なものは必ず環境破壊を引き起こすんです
まったく持続可能じゃないんですよ
本書では結論として
経済成長を放棄しなければ持続可能な社会はやってこないのに
それを掲げることが民衆の指示を得られないことを知っていて
リーダーたちは見て見ぬフリをしていると指摘しています
脱成長のロールモデルとしてスペインのバルセロナを紹介していますが
経済破綻のショックがあったからこそ大きく舵を切れたんだと思います
本書の主旨は理解できても人々には受け入れられないでしょうね
自分の生活水準を落とすとなれば誰だってイヤですから
衆院選の選挙戦が始まりましたが自民党総裁は「経済成長」を推し
立民代表は「賃金」を連呼しています
どの党の代表も脱成長は謳えない
だからでしょうか本を読んだ後に
より一層各党の代表が薄っぺらく見えるんです
だれも本当の将来を見据えているように感じられません