本屋大賞2021にノミネートされていたので手にとった作品
残念ながら受賞は叶いませんでしたが
途中から読み止まらなくなって4日で読んでしまいました
3つのストーリーがパラレルに展開し
ストーリー同士がニアミスしながら進んでいきます
バラバラの登場人物がどんどん撚りあわさり一本の糸になっていく様は
既視感ありますが好みです
序盤は各ストーリーの切り替えがゆったりしているのに
終盤にむかってテンポアップしていきます
クライマックスは5行ごとにクロスオーバーw
情景描写における言葉の豊かさも良きです
楽器を練習するお気に入りの場所(高架下)へ歩いていくくだりは、
高架下は近くに見えたけど、歩いてみると意外に距離があった。高く伸びていたはずのヒマワリはくったりとして折れ曲がっている。脇に咲いたサルスベリは対照的に、桃色の花を弾けたみたいに咲かせていた。草むらを軽く蹴ると、バッタが一匹高く跳ねる。
夏を表現するところは、
9月初旬とはいえまだまだ暑かった。それでもオレンジがかった陽の色合いからわずかに秋の気配が感じられた。アスファルトの焼ける匂いにくらくらする。
華美な印象を与えずエピソードの合間あいまに差し込まれた言葉が
美しく感じる方にオススメの一冊です