ブルゴーニュの走り書き

皆生トライアスロン、関西シクロクロス。通勤ラン、通勤バイクなんかも語っちゃえ!

(読書)オルタネート

f:id:kus110:20220518190338j:image

 

本屋大賞2021にノミネートされていたので手にとった作品

残念ながら受賞は叶いませんでしたが

途中から読み止まらなくなって4日で読んでしまいました

 

3つのストーリーがパラレルに展開し

ストーリー同士がニアミスしながら進んでいきます

 

バラバラの登場人物がどんどん撚りあわさり一本の糸になっていく様は

既視感ありますが好みです

 

序盤は各ストーリーの切り替えがゆったりしているのに

終盤にむかってテンポアップしていきます

クライマックスは5行ごとにクロスオーバーw

 

 

情景描写における言葉の豊かさも良きです

 

楽器を練習するお気に入りの場所(高架下)へ歩いていくくだりは、

高架下は近くに見えたけど、歩いてみると意外に距離があった。高く伸びていたはずのヒマワリはくったりとして折れ曲がっている。脇に咲いたサルスベリは対照的に、桃色の花を弾けたみたいに咲かせていた。草むらを軽く蹴ると、バッタが一匹高く跳ねる。

 

夏を表現するところは、

9月初旬とはいえまだまだ暑かった。それでもオレンジがかった陽の色合いからわずかに秋の気配が感じられた。アスファルトの焼ける匂いにくらくらする。

 

華美な印象を与えずエピソードの合間あいまに差し込まれた言葉が

美しく感じる方にオススメの一冊です