ブルゴーニュの走り書き

皆生トライアスロン、関西シクロクロス。通勤ラン、通勤バイクなんかも語っちゃえ!

(読書)人生を走る ウルトラトレイル女王の哲学

f:id:kus110:20220512145016j:image

 

世界最高峰のトレランレース UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)で

5勝した(2005~2012年)リジー・ホーカー(Lizzy Hawker)の自伝です

 

冒頭で彼女はこの本が自分自身の物語だと宣言しています

速く長く走ることよりも楽しい世界を共有したいという

彼女の思いがこの一言に込められています

 

en.wikipedia.org

 

私はトレランに疎くてキリアン選手しか知らないんですが

KDさんのポストを見て興味を持ちました

 

UTMBで5勝だけにとどまらず2012年のスパルタスロンでは総合3位

24時間走(ロード)女性世界記録と勝ちに勝ちまくったレジェンドですが

海洋物理学博士号をもちBAS南極で気候変動の調査した理系女子の顔ももっています

 

この経歴って同じイギリスのレジェンド

Kona4勝で殿堂入りを果たしたクリッシーウェリントン

(Chrissie Wellington)に似てますね

 

en.wikipedia.org

 

クリッシーはイギリス政府機関DEFRA(環境食糧農村地域省)で働き

休暇をとって途中にネパールのNGOに参加していました

 

極地で練習すると強くなる訳じゃありませんが1歳違いで同じ国出身で

理系女子でEndurance界で世界の頂点を極めたんですから

本国でも話題になったんじゃないかと想像します

 

さて本書の内容ですが驚くほどレースの記述があっさりしています

UTMB1勝だけでも本1冊書けそうなもんですが

彼女は10行くらいで済ませるんです

 

勝利を目指して走っていたのではなく地球に包まれるような

一体感に心奪われて走っていたら毎回一番になっちゃってた感じです

こんな人もいるんですね

どんな偉業も彼女にとっては大きな意味を持たなかったんでしょう

 

 

 

とにかく尋常じゃないランニング人生を走りに走りつづけた彼女ですが

キャリア終盤は故障の連続でした

そりゃこんだけ走ったら壊れるだろうってくらい走り回って

(記述されているだけでも)疲労骨折を6回繰り返します

 

学習能力がない訳じゃなく彼女いわく

故障には学びがあるそうです

本書の終盤は走ることをより哲学的に深堀りしていき

私の感覚ではついていけない領域でした

 

一方で序盤は競技やレベルが違えど共感できます

『走っているとき、わたしと、わたしの周囲の存在を隔てるものはない

 ー 足はリズミカルに地面に触れ、空気を吸い、目を凝らし、耳を澄ませる ー

 官能的なまでに親密な関係だ』

 

トレイルランナーは自然という大きな舞台のまんなかにいて、

溢れんばかりの臨場感に包まれることを表していますが

トライアスリートも似たような感情を抱きます

 

海に抱かれて溶岩台地を駆け抜けると自分が自然に溶けていくような感覚を覚え

だからKonaに戻りたいと思うんです

彼女のように無限に走ることはできませんが

この本には感じ入るものがたくさんありました

 

 

昨日のworkout

オフ

 

珍しくENがお休みをくれました

天気も悪いし外出は1日遅れの十五日詣りだけ