ブルゴーニュの走り書き

皆生トライアスロン、関西シクロクロス。通勤ラン、通勤バイクなんかも語っちゃえ!

(レースレポート)IRONMAN World championship 2022

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11:54:51 総合983位/2318 年代322位/575

 
前回2018年大会よりも1時間以上遅れてのゴールでしたが
数々のトラブルに心折れることなく最善を尽くしたので一片の後悔もありません
ホンモノのIronmanになれた気がします
 
【スイム 1:19:21 年代400位】
 
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スタート時刻が遅くなったので4時起床
いつもの通り粉飴+クエン酸のボトルを400㏄とみそ汁を摂取
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ナンバリングは自分でタトゥーシールを貼るようになったんで
急ぐ必要はないのだけれで5時出発
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朝早くから大勢のボランティアが集まり拍手で出迎えてくれる
Awsome, Great, 繰り返し声をかけてもらい胸いっぱい
前方にEndurane Nationのチームキットが見えたので近づいて声をかける
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初対面だけど日本から唯一参加している私のことを知ってくれている様子
異国の地で繋がりを感じるだけで心強い
 
自分のバイクラックに行ってタイヤに空気充填
フロント3.6bar, リア3.8bar
いつも通りのセッティング
ボトルを装着して準備完了
スタートまで2時間以上もあるから宿に戻ってもよいのだけど
同日レースのきょんちゃんの様子を見に行ってみる
表情に緊張が現れているのでSmile!と笑顔を作って見せる
トイレに行って軽量タイム
予想通り長蛇の列だったのでスタートまで時間のある自分はウォーミングアップがてら
会場から離れたトイレまでジョグ
朝ランすると腸が活性化するから丁度いい
 
KHH(キンカメホテル)まで戻るとトイレの列がなくなり
いよいよ女子プロのスタートが近づく
トランジットエリアは女子プロのスタートと同時に立ち入り禁止になるから
退出してプレスイムバッグを持ったままウェイティングゾーンでブラブラ
 
ここでもENの仲間を発見
本土から応援も来ていて写真を撮ってもらう
 
日本人グループが目に入ったので声をかけてみる
顔なじみがいると安心する
プレスイムバッグを預け先に進む
 
女子プロのバイクラックの真横を通るのでトッププロのバイクを観察
サドル高はおおよそ私と同じくらい
エアロバーのカスタム化がより進化した印象
バイクフレームやホイールに目新しさはなくフレームと同額の予算を
エアロバーに投資する時代が来たようだ
 
長時間待たされるのでここに水ボトルを持ってくればよかったと後悔
レース展開を映す大型ビジョンの前に座って女子レース観戦
ルーシーがブッチギリの展開
完全に抜け出して大きく後続を引き離す
結局50分57秒で3.8kmをスイムアップし背中を見送ってから自分もスタートへむかう
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入水エントリーから300m先のフローティングスタートまで猶予は4分
ウォーミングアップ代わりに軽く泳いで1分ほどまってから中央部3列目でスタート
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グループは600人弱なのでとても泳ぎやすい
ところどころ接触はあるものの1分55秒/100mで良いので終始リラックス
500mも行かないうちに5分後にスタートしたグループの先頭にパスされる
さすがに速すぎるのでドンドン抜いてもらう
ヘッドアップと息継ぎで前後左右を確認
空いているところやブイを探す
 
500m毎に振動アラートを入れて大よその距離感を把握
見せ場もなく順調にスイムアップすると1時間19分
少しゆっくり泳ぎ過ぎたけど調子の悪さを思うと順調な滑り出し
 
ハワイの海は塩分濃度が濃いのでしっかり塩を水で落としてトランジット
これを怠ると乾燥して浮いた塩が擦れの原因になるからね
 
【T1 9:13】
急がずにゆっくりアームカバーとカーフガードとHRセンサーを着用
冷却インナーとチューブバンダナをセットして出陣
トランジットのランニングが長い長い
埠頭を大きくまわされてスタートへむかう
 
ここで最初のアクシデント
 
■サンスクリーン事件
T1出口でボランティアが「サンスクリーン~、ジェール」と言いながら手渡している
 
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あまり考えもせず口で千切って飲み込むと( ゚Д゚)
ラードのような脂ぎった気持ち悪い味が口に広がる
すでにゴックンしてしまった後で吐き出すこともできない
間違えてサンスクリーンを飲み込んでしまった
大きさは違うけど似たような形状だったことが災いした(写真右がサンスクリーン)
サンスクリーンは食品ではないけれど万一摂取しても有害なものは入っていないだろうし
ハワイではサンゴを保護するリーフセーフのサンスクリーンのみだから
問題ないだろうと自分に言い聞かせて先を急ぐ
 
 
【バイク 6:24:34 年代452位】
 
■エアロバーゆるゆる事件
最初の1kmで右エアロバーが固定されていないことに気づく
毎日バイクに乗っていてチェックずみだったのにエアロバーを握って
乗らなかったことと組み立て時に仮締めに気づかなかった
ダブルで自分のミス
 
どうするどうする考えろ考えろ
 
1時間走って12km地点
ここからは長い下りが続く
ゆるゆるのまま走り続けられるが振動でネジが抜け落ちたら完全アウト
意を決して立ち止まりミニツールで絞めなおす
左右のエアロバーの高さが違っていても1本ずつ持てば無問題
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2分のロスで復帰する
ENのおばあちゃん選手とスタートで会ったチームメイトが大丈夫かって
声をかけてくれる
追いかけて追い越して行く時にサンスクリーンの話をして
状況を説明する
 
■嘔吐がはじまる
長い下りを過ぎると溶岩台地が広がる
この辺りから少しずつ嘔吐がはじまる
最初はちょっとえずいて吐くだけ
身体を観察し痺れはないから熱中症ではなさそう
胃がパンパンに膨らんでいるようで摂取したドリンクが吸収できていない感じがする
もしかしたらサンスクリーンが胃壁を覆って吸収を阻害しているのかな
 
どうするどうする考えろ
 
荒治療だけど予定通り水分を摂って摂って摂りまくる
何度もえずいて走りながら吐く
朝食は粉飴だけだったので固形物はなく喉を刺激する胃酸は薄い
2度ほど軽い嘔吐を経て60km地点で遂にキラウェア火山の如く大噴火
 
こんなにも胃に容量があるのかと驚くほどの量
粉飴とゲータレードが混じりあった液体を2リットル近く吐き出した
身体の状況をチェック
吐いた直後は苦しかったけど水分を受け付けている様子
最初は少量ずつ口に含んで飲み込む
大丈夫だ
たぶんサンスクリーンは全部吐き出せたはず
 
ここでENおばあちゃん選手がまたまた追いついてきた
今度はかなりシリアスな表情で本当に大丈夫かって声をかけてくる
分からないけど大丈夫と答えて先を急ぐ
 
■アームパッドぽろり事件
ここまでは散々な状況で目標のワット数なんか一切関係ない走り
冷却対策で水ボトルを背中に挿して走ると常に冷却インナーが潤って涼しい
きょんちゃんがIMフィリピンで得たTipsを試してみると
実に具合よろし
Hawiを折り返し順調に下っていくとアームパッドがズレていることに気づく
水をジャブジャブ被り過ぎたため両面テープが剝がれてきた模様
エイドで立ち止まって背中にボトルを挿しているとついに左側が外れてしまう
手にもって再スタート
下りでベースバーを握る時は手に持って平地が来たらアームパッドを
カップに置いてから肘で抑える
 
アキラ100%かよってグチりながら
どうするどうする考えろ
 
フロントハイドレーションを水平に保つために使っていたストラップが使えるかも
一か八かで次のエイドで立ち止まってアームパッドを縛ってみる
完璧じゃないけど固定できた
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ゴールまで残り50km
まともに走れるまでに130kmを要したけど
ここからが自分のKonaだと心に決めてクイーンKに続く上りをあがる
遅れは取り戻したいけど慌ててはいけない
予定のワット数を順守する
 
■ボーナスステージ
アクシデントの波状攻撃でかなり後方で走っていることは想像に難くない
幸いコナウィンドはおとなしく右は海で左は溶岩台地が広がる
ここを走れる幸せを噛みしめつつ顔をあげる
遠くまで見渡せて蛇のようにうねるクイーンKをぽつりぽつりと
ライダーが走っているのが見える
女子選手と同日レースが幸いし独りぼっちではない
ひとりずつ拾っていきながら前を行く
 



バイク6台分の間隔を空けドラフティングゾーンに入ったら25秒以内に抜くことがルール
速度差があるので合法的にドラフティングをしているようなものでバンバン抜いていく
た、楽しい♪
後半になるとタレてきた男子選手をパスしていく
ネガティブラップの無敵モードに突入
 
途中ひとりだけ強い選手がいたんだけど
ずっと左サイドを走行している
NZのウェアだから母国では左走行なのだろう
このままだとブロッキングを取られかねないので声をかけてみる
「キープライトって知ってる?あなたは強いね」
 
ただ注意だけすれば嫌な印象が残る
ストロングメッセージは好ましくないから褒める言葉を加えてみた
彼はその後キープライトをしてくれた
彼も速かったけど今の私はもっと速い
置き去りにして前を急ぐ
 
結局のこり50kmは誰にも抜かれることなく走り切れた
超きもちいい
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バイク序盤は20km/hにも届かず
全体平均スピードは25km/hにも満たなかったのに
この区間だけは35km/hオーバー、最高43km/hをマーク
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【T2 6:45】
バイクゴールすると左内腿を痙攣
ちょっと調子に乗り過ぎたかな
筋肉を伸ばしてひょこひょことトランジットエリアを歩く
トランジットバッグを受け取りゆっくり身支度を整え
最後にテント内のトイレで用を足す
隣と仕切りのない小トイレは妙な光景だが気にする選手はひとりもいない
皆タイムが気がかりなのだ
 
【ラン 3:55:00 年代114位】
両手にソフトカップ、帽子の中にジップロックを入れてアイスキューブで身体を冷やす
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心拍数をチェックしながらターゲットゾーンを超えないようにペースをコントロール
あちこちで日本選手団やEnduraneNationの仲間が声をかけてくれる
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その度に「ここからが俺の番だからね。巻き返すぞ~。」って叫びながら
自らを鼓舞する
ここまではコテンパンにやられているけどランだけは自己ベストを出してやる
そんな気持ちで臨みました
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折り返しで前をチェック
みんなを応援しながら目標にして前を追っていく
 
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ラン序盤でクランプストップのスプレーが詰まって出ないことを発見
3年ぶりだから固まったか?仕方ないので蓋を開けてチビチビ摂取
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スタートが遅くなったせいでクイーンKの日差しはきつくない
でも夕闇が迫る前に少しでも前に行きたい
 
エイドステーションではウォークブレイク
身体の冷却と心拍数を下げる
補給は主にモルテンジェルを多用
わらび餅のようにのど越しよくて美味しい
あとはバナナ
 
エナジーラボまでの長い下り道をおりると海が広がり西日で目の前が見えない
いよいよ日没
振り返れば月がのぼっている
 
復路のクイーンKはほぼ暗闇
街頭のある区間はわずかで全体的に照明ゼロ
エイドステーションも真っ暗け
おそらく野生動物を刺激しないための配慮だと思う
路肩に脱線注意のくぼみやキャットアイでライトがないとペースダウン必至
涼しくて走りやすいけど前が見えないとつらい
ベストタイムで走っても日没必至だったの100均ライトを用意しておいて本当によかった
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サングラスはシクロクロスでも使っていた明るめのミラーレンズ
日中用だと全然足元が見えないので怖い思いをしたかも
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ランでも誰にも抜かれることなく快走し
自己ベストかと思いきや3時間55分
あらら~期待したほど速くなかったのね
 
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【フィニッシュ後】
ゴールはボランティアをしていた篠さんが迎えてくれた
わざわざ私のために順番を融通してもらったとのこと
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感謝です
フィニッシャーキットを受け取り休憩ゾーンに入るとENの仲間がいたので
しばし雑談
 
サンスクリーン事件を伝えると驚くやらウケるやら好感触
こりゃ使えるなって手応えありました
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フードゾーンはシンプルなメニューでピザとハンバーガーとチュロスなどなど
マッサージもなくなっていて残念でした
それでも3年ぶりに開催してくれたKonaはやはり最高の舞台で
目指すべき約束の地であることは間違いありません
 
レース直前の体調不良にレース中の数々のトラブル
どこかで心折れてもおかしくない状況だったんですが
最後まで諦めることなく集中して走れました
 
この時の自分の心の支えは2005年の皆生トライアスロンの体験でした
 
25回の記念大会だったんですが数々のトラブルで心折れそうになりながらも
後ろを走る選手に対する尊敬が私を安易な選択から救ってくれたんです
失敗だって次に活きればプロセスに変わります
失敗から学んだおかげですね
 
レースで力を出し切ることができたことを誇りに思い
ホンモノのIRONMANになれたような気がします